良い汗と悪い汗のかき方

クオーレ

2012年12月03日 13:53

軽い運動でかく汗は体温を調節するために必要な汗ですが、中には汗をかき過ぎて困るもいます。
良い汗のかき方と困った汗の見分け方についてお知らせいたします。

汗は、主に皮膚に無数にあるエクリン腺と呼ばれる汗腺から分泌されます。
成分の99%が水分で、主な役割は蒸発するときに熱をうばうことで体温を調節します。
発汗量は個人差がありますが、環境によっても少しずつ変化します。
日本人の場合は春ごろから次第に発汗量が増え夏の暑さに備えます。
こうした体の機能を暑熱順化といいます。
しかし最近では、エアコンの普及によって、なかには汗をかく機能が高まらないまま、夏を迎える人が多くなっているそうです。
暑熱順化しないまま暑くなると、体の表面からは塩分濃度の高いネバネバの汗が出るため、外出や運動を避けるようになり、よけいに順化が遅れます。
そして梅雨の猛暑が続いた時などに、夏バテを起こしやすくなるだけでなく、熱中症を起こす危険性も高まります。
発汗能力は、加齢によっても衰えるため、高齢者では特に注意が必要です。
夏バテを防止するためにも、この季節から上手にサラサラの汗をかける体を作っておくことが大切です。
その方法として、比較的涼しい時間帯にウォーキングなどの運動で汗をかく習慣をつくる。
それが無理な場合は、1日に2~3時間はエアコンを止めて窓を開けて自然に汗ばむ時間を作るといいそうです。
この時、温かい飲み物をとることもお勧めです。
ただし、だらだらと汗が流れるほどの無理は厳禁です。
かいた汗は、放っておくとあせもなど皮膚症状をもたらすこともあるので、濡れたタオルでふき取ったり、適宜シャワーを浴びたりして清潔を保つことが大切です。
このように適度にかく汗は健康づくりに役立ちますが、かきすぎて困る人もいます。
一般に皮下脂肪の厚い人は、熱が体内にこもりやすく、いわゆる汗っかきになりがちだがこれは肥満を解消すれば治るので正常な汗の範囲内です。
病気として治療の対象となる汗は、自律神経のうちの交感神経の異常によってかく汗で多汗症と呼ばれる。
汗をかく指令をだす交感神経には2系統あり、1つは体の熱を下げるための汗をだす機能で、もう1つは精神的に緊張した時に、手のひら、足の裏、額などにかく汗です。
後者は、もともと外敵から逃げたり戦ったりする時に、木の枝などをしっかり握るために発達した機能です。
しかし、多汗症の患者はその神経が過剰に働き、それほど緊張度が強くない時にも、手のひら、足の裏、わきの下などに大量の汗をかきます。

多汗症の中でも、てのひら、足の裏の汗で困っている人は、生まれつきのことが多く手掌足底多汗症とよびます。
これに対して思春期や成人になってから増えるのは、顔面の額などに多量の汗をかく人で、これはストレスが重なって自律神経の機能に異常をきたしたもの。
またわきの下の汗は、その中間で生まれつきとストレスの両方が原因の場合があります。

多汗症の治療は、過剰となっている自律神経の異常を抑える必要があるため、神経疾患の専門家であるペインクリニックなどが行うことが多い。
なお、わきの下の多汗症はワキガと間違えやすいが、ワキガはアポクリン腺と呼ばれる特殊な汗腺が原因でおこる症状で、実は日本人には少なく治療法も異なります。
この他、更年期障害では就寝時に全身に多量の汗をかく症状がでることもあります。

ここ数年猛暑の夏が続いています。
夏に向かって上手に暑熱順化することは、エアコンの設定温度を上げ省エネにもつながります。
時々自分の汗の状態を考えてみて、より良い汗をかく習慣を身につけることが大切ですね!

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