運動中、脚がつる経験をした人は少なくないでしょうが、
ごくありふれた症状であるこむら返りですが繰り返し起こす場合には、病気が潜んでいることもあります。
急にこむら返りを起こすようになった、週に何度も起こす、就寝中などの安静時にも繰り返す…そんな場合は注意が必要です。
こむら返りとは、痛みを伴う筋肉の痙攣(けいれん)のこと。
主にふくらはぎである腓腹筋(ひふくきん)で起こることが多い。
運動時や運動後、就寝中などに起こりやすく、多くの人が経験するなじみ深い症状です。
大半は脱水などによる一過性のもので、病気と無関係ですが、繰り返す場合には思わぬ病気のサインの場合があります。
筋肉自体に原因があって起こる場合と、筋肉につながる神経が原因の場合とに分けられます。
例えば運動時に起こるこむら返りは、筋肉の疲労や、発汗などによる脱水で血液中の電解質のバランスが崩れ、筋肉自体の過敏性が高まって痙攣するものです。
冷えなどの血行障害で筋肉に老廃物がたまり、十分な栄養を補給できないことも引き金になります。
一方、神経に原因がある場合には、何らかの障害をうけた神経が、筋肉に異常な信号を送り、過剰に筋肉が収縮して起こると考えられています。
糖尿病でこむら返りが起こるのはこのタイプで、血糖値が高い状態が続くと、末梢神経に小さな傷がつき、刺激が起きます。
糖尿病の三大合併症の一つに神経障害がありますが、こむら返りもその一つです。
糖尿病で起こる場合、就寝中の明け方など、安静時が多いのが特徴で、こむら返りで受診して糖尿病が見つかることもあります。
のどが渇く、多尿などの症状もあれば糖尿病が疑われますので内科の受診をおすすめします。
また、腰の神経圧迫もあります。
腰部脊柱管狭窄症は背骨にある神経を包む管の脊柱管が狭くなり、神経が圧迫されて様々な症状が出る病気で50歳以降で多い。
脊柱管狭窄症患者に行った調査では、約7割にこむら返りがあり、夜間就寝中に起こるケースが7割以上で、頻度は数日に一回が最も多かったという報告もあります。
脊柱管狭窄症の場合、間欠破行(かんけつはこう)も特徴的な症状で、歩くと脚がしびれて痛くなるが休むと楽になります。
こむら返りを繰り返し、間欠破行があれば整形外科の受診を。
このほか、女性に多い甲状腺機能低下症でもこむら返りを起こす。
こむら返りを予防するために効果的なのが、つってしまう筋肉のストレッチです。
脊柱管狭窄症では術後もこむら返りが起こることも多いが、日常的につりやすい筋肉を十分にストレッチしておくとそれが防げます。またラジオ体操も効果的です。
一方、糖尿病の場合は血糖のコントロールが一番です。
これから寒さが増して、こむら返りがもし繰り返すようなら軽視せず、医療機関を受診しましょう。